全国各地で行われているのが土木工事です。
この土木工事がどのような流れで施工されているのか、十分に理解している方は、そこまで多くありません。
実際には、調査や現地確認など直接施工に関わらない工程も多く含まれているため、知らないというケースも少なくありません。
また、そもそも土木工事がどのようなものか分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は土木工事の基礎知識について解説し、基本的な流れについてステップごとに解説します。
そもそも土木工事とは?
極論をいえば、土木工事とは建築工事以外の工事すべてを言います。
建築工事とは、建物を建てるために施工される工事のことであり、それ以外の工事は全て土木工事なのです。
ここでは、建築工事との違いや土木工事の種類について解説しましょう。
建築工事との違いは?
建設工事が土木工事や建築工事すべてを含めた言い方です。
そのうちの建築工事を引いたものが土木工事になります。
厳密には建築と深くかかわった土木工事があり、一方で土木工事と深くかかわった建築工事があるので、明確な線引きはありません。
ただ、一般的な区分けとして、地面の下で施工する工事が土木工事、地面のうえで施工する工事が建築工事というような理解がされています。
たとえば、地面の下になる山の斜面へ施工する治山(ちさん)工事、河川の地面へ施工する治水工事などが土木工事になります。
地面の上になる道路工事や橋を渡す橋梁工事、ダムなどの構造物を建設するダム工事など地面の上に施工する工事も土木工事になるので一概にこの線引きは難しいかもしれません。
また、建築工事はマンションや住宅、ビル、工場、商業施設などの建物を建設する工事を指します。
建設工事以外が土木工事と考えると土木工事をイメージしやすいでしょう。
土木工事の種類
土木工事には次の3種類が挙げられます。
・外構工事
・造成工事
・基礎工事
まず、外構工事は比較的身近な土木工事です。
これは建物以外の外構物を建設する工事を指します。
たとえば、庭の通路や塀、フェンス、カーポート、駐車場などです。
リフォームや注文住宅でお世話になる土木工事といえるでしょう。
造成工事は、建物を建てる際に土地を加工する工事です。
たとえば、斜面に家を建てる場合は、盛り土などを行って平坦な面を作ったり、でこぼこした土地があれば土を削って平坦にしたりといったことです。
主に重機などを使って大きく土地の形を加工する工事が造成工事といえるでしょう。
最後の基礎工事は、建物を建てる際の基礎を建設する工事です。
建物の建設前に施工しているコンクリートの基礎部分がこれにあたります。
これらの工事は、内容こそ違うものの、流れは共通している部分が少なくありません。
次の項目では、土木工事の基本的な流れについて解説しましょう。
土木工事の流れを紹介
土木工事の種類は多岐にわたります。
一方で、その流れについては、基本的な部分で共通しているところもあります。
ここでは、土木工事の流れについて次のステップで解説しましょう。
1.現地調査の実施
2.計画の立案
3.実施計画の設計
4.土木工事の着工
5.工事の完了
1.現地調査の実施
工事の依頼を受けたら、土木工事を施工する現地調査を実施します。
実際に土木工事をすることで調査をしないと、作業見積自体も立てられないからです。
調査としては、現地にアクセスするための道路状況や電気、水道が確保できるかなどのライフラインの状況を調査します。
さらに法令に照らし合わせて違法な土木工事にならないか、法的な制約は何か調べるのがこのステップです。
調査を行いながら見積もりも並行して行い、調査完了後に予算を算出して、大まかな費用を発注者へ見積もりという形で提示します。
そのうえで、発注者が土木工事の注文を行うことで、受注されて土木工事の本格的な工事が行われるのです。
2.計画の立案
発注者のニーズも聞きながら調査結果をもとに土木工事の流れを作るのがこのステップです。
大まかなプランが立案出来たら、基本計画案の作成を行います。
基本計画案も発注者と入念に打ち合わせを行って進めていきます。
発注者と施工業者が納得できる計画を作成することが重要です。
3.実施計画の設計
基本計画が完成したら、施工にあたっての具体的な実施計画を設計します。
次のような調査や情報収集を行い、より詳細な計画を作成します。
・現地測量
・現地詳細調査
・類似施工例視察
・資料採取
・法令調査
これで工事経費積算を含めた具体的な準備を進めるのがポイントです。
4.土木工事の着工
実施計画をもとにして、土木工事を現場で着工します。
工事中は工事の品質を保つだけでなく、作業員や周辺への安全管理を実施します。
施工前に工事のお知らせを行い、規模によっては住民説明会などを開催することもあるので、単に重機や資材を手配していきなり着工というわけではありません。
工事の内容については土木工事の種類によって大幅に違います。
5.工事の完了
工事が計画まで完了したら、検査を実施します。
社内での検査だけでなく行政の確認検査を受けなければなりません。
この二重検査によって問題ないと判断されれば、工事の施工が完了です。
発注者へ工事完了の連絡を行います。
工事が完了したら、費用を受け取り工事が完了です。
ただし、工事が完了した後も土木工事に問題が発見されたら、速やかに現場へ行って適切な対応をする必要があります。
ここまでの流れが終わって、ようやく土木工事が完了します。
土木工事の種類や規模に関わらず、基本的な流れは、今紹介したような流れで施工しているので、これらの流れを理解すれば土木工事がどのようなものか、より把握できるでしょう。
まとめ
土木工事の多くを占めるのは公共事業です。
そして、社会で日常生活を送るうえでなくてはならないものでもあります。
今回は、身近でありながら今ひとつイメージが付きにくかった土木工事について解説しました。
もし、土木工事を依頼する、あるいは土木工事業者と協業するといった場合は、あらかじめ土木工事の流れを理解しておくとスムーズでしょう。
そうすることで、より円滑に土木工事の発注や理解が進みます。
