舗装された場所は車両の往来や経年劣化などで段差が発生することは珍しくありません。
また、もともとの建物に段差がある場合も見られます。
そのような場所はアスファルトを中心としたさまざまな工事を施工して段差解消を試みることがほとんどです。
実際に道路などでも片側通行になっている場所で、工事が行われているところを目にしたことがある方も多いはずです。
そこで今回は舗装された場所の段差解消をするための種類や必要な工事について解説します。
2パターンの舗装の段差解消を紹介
舗装の段差解消が必要になるケースは次の2つのパターンが挙げられます。
・道路の経年劣化や破損で発生する段差
・建物や敷地の構造による段差
道路の経年劣化や破損で発生する段差
冒頭でお話ししたような道路の経年劣化や破損で発生する段差は、道路工事が必要な舗装の段差になります。
こちらは、さまざまな手法で段差解消を狙って施工することがあり、施工業者によって手法が異なることも珍しくありません。
建物や敷地の構造による段差
舗装された建物の外構や敷地の構造によるもともとの段差もあります。
こういった場所はコンクリートでスムーズなスロープを作ったり、アスファルトを持って斜めにすることで段差をスムーズなものにできます。
また、ゴム製の段差解消を目的とした段差プレートなどを利用すれば、設置するだけですぐに段差解消が可能です。
ただし、ゴム製の段差解消の段差プレートは状況によって外れたり、ズレたりすることがあるので運用には注意が必要です。
舗装された道路の段差解消を狙った工事を紹介
もともとある建物の外構や敷地の構造による段差はさきほど紹介した手法で解消できます。
一方で、舗装された道路で発生した段差はコンクリートが露出してしまうほど深いものもあるため、さまざまな手法で段差解消されます。
ここでは次のような手法で行われる段差解消を紹介しましょう。
・特殊改質アスファルト
・常温硬化型のアスファルト混合物
・寒冷地向け常温硬化型アスファルト混合物
・MR2工法・MR2AB工法
特殊改質アスファルト
特殊改質アスファルトと呼ばれる骨材と粘着性の高いアスファルトを混合した物を設置する方法です。
どのような天候でも施工ができる段差解消の舗装方法で、国道や高速道路などにも利用できるタイプです。
たいすいせいにも優れ、舗装後すぐに道路を開放しても骨材が飛散しません。
施工方法は、混合物を段差に広げ、重機で押し固めるだけです。
常温硬化型のアスファルト混合物
舗装の段差修正およびポットホール補修を得意とする常温硬化型のアスファルト混合物でも、段差解消が行われます。
これには細粒型と粗粒型の2種があり、それぞれ段差の大きさによって使い分けが行われます。
まず細粒型は、比較的浅い段差の補修に用いられます。
5~10mm程度の段差に利用でき、簡単に押し固めることで作業できます。
一方、粗粒型は段差の大きい箇所に使用するもので、2cm程度の深さまで対応できる補修材料です。
この素材の強みは、速乾性で地面を選ばないことです。
施工後わずか30分で交通解放ができるというスピーディーさがポイントで、急な段差解消にも適している種類といえます。
次に下地面にも強みがあり、アスファルト舗装でもコンクリート舗装でも両方のタイプに対応できます。
そのため、とりあえずこの混合物を持っていけば、どのような道路の段差でも段差解消を目的とした補修が可能です。
道路だけでなく、マンホールの周辺の段差解消や橋面舗装(継手部)の段差解消にも対応しています。
仕様方法は骨材に混合物を混入し、10秒程度混合したらコテなどで平らにするという簡単な作業です。
寒冷地向け常温硬化型アスファルト混合物
低温・湿潤時はさきほどの混合物では十分な硬化が得られない場合があります。
そういった場合に利用できるのが寒冷地向け常温硬化型アスファルト混合物です。
こちらも細粒型と粗粒型の2種類が用意されており、段差の程度に合わせて使用できるようになっています。
段差の浅い場所の補修に利用できる細粒型と、2cm程度の深さに対応している粗粒型が用意されているのも共通しています。
特徴としては低温に強い、水たまりになっている所でも施工できる、下地を選ばないといった点です。
段差解消の部材が使いにくい気温0度程度の環境下でも素早く硬化します。
これによって冬場の段差解消でも力を発揮してくれるのが特徴です。
次に水分にも強いため、水たまりになっているようなところでも段差解消を試みられる点も魅力といえます。
また、下地もさきほどの混合物と同様に、アスファルトの下地でもコンクリートの下地でも問題なく運用できるのが特徴です。
このような特徴から低温時(0~10度)において使用できるようになっています。
そのため、寒冷地でよく目にする消雪パイプの段差解消にも用いられることがある段差解消の種類です。
MR2工法・MR2AB工法
最後に紹介する段差解消の方法は、ここまで紹介したものとは異なる種類です。
その理由としてマンホール周辺の段差解消専用の工法であること、騒音や工期を最小限にする際に用いられることといった点が挙げられます。
マンホール上部と舗装面の段差解消を目的にするもので、マンホールの枠自体を専用の大型重機を設置して撤去し、そこに新規のマンホール枠を設置します。
同時に調整コンクリートも除去し、代わりに新しいマンホール枠とふたを設置するというものです。
事前に高さを施工面まで下げ、舗装後に再度マンホールを復旧するといった流れで施工されています。
このように大規模な工事ですが、作業着手からたった2時間程度で交通開放まで持っていくことができます。
さらに、マンホールの更新や段差解消といった両面の目的を達成します。
まとめ
アスファルトは高頻度で利用されている場所や経年劣化場所に段差ができることがあります。
そういった場所を安全に往来、利用できるための段差解消の方法について解説しました。
今回紹介した以外にも施工業者によってさまざまな手法を用いて段差解消を行うところがあります。
