道路に対して強度を持たせたり、わだちや砂ぼこりを防ぐ目的で施工するのが舗装工事です。
多くの技術に支えられているこの工事は、アスファルト以外にも多くの種類の素材が使用されています。
その一つがコンクリートです。
コンクリートは道路舗装に用いられることもある材料であり、ほとんどの方が目にしたことのある材料です。
今回は、アスファルトに並んで舗装の材料として採用されているコンクリートについて、アスファルト舗装との違いやメリット、デメリットを解説します。
コンクリート舗装とはどのような舗装か
コンクリート舗装はセメントに砂や砂利を混ぜたコンクリートを用いて舗装する技術です。
ここでは、基準の存在、簡単な歴史について解説しましょう。
コンクリート舗装の基準
コンクリート舗装の基準として強度があります。
強度といっても多くの種類が存在するものの、コンクリート舗装は、曲げ強度を基準にして管理しているのが特徴です。
コンクリート舗装以外にコンクリートを使用するコンクリート構造物や建物の場合は圧縮強度に注目して強度管理をしています。
そのため、ほかのコンクリートを用いたものとは異なる基準で管理されているといえるでしょう。
コンクリート舗装の歴史
コンクリート舗装の歴史は古く、1912年には日本ですでに導入されていたとされています。
すでに100年以上の歴史を持つ舗装技術ですが、当時は一般的な舗装ではありませんでした。
しかし、1923年の関東大震災によって、その強度が注目され道路舗装の手段として積極的に使用されるようになりました。
アスファルト舗装とは?コンクリート舗装との違いも解説
コンクリート舗装は日本で普及している舗装の技術です。
しかし、道路を見るとメインはアスファルト舗装になっています。
ここではアスファルト舗装の特徴やコンクリート舗装との違いを見ていきましょう。
アスファルト舗装とは
アスファルト舗装は、石油由来の素材を熱して舗装する技術です。
温度が下がるとすぐに使用できるという特徴から、工期が短縮できるようになりました。
このほかに特徴として、費用面、耐久性、排水性といった点が挙げられます。
費用面では手間が少なく舗装できるため、ほかの素材よりも安く仕上げられます。
また、耐久性にも優れ、木材などの舗装に比べて車の荷重にも耐えられるのが特徴です。
さらに排水性も優れていることから、降雨によってぬかるみができたり、水たまりができたりといったこともほとんどお粉らない点からも採用される頻度が多い素材となっています。
コンクリート舗装との違いは?
コンクリート舗装とアスファルト舗装との違いは、素材構成、強度、耐熱性が挙げられます。
まず、素材構成として次のような違いがあります。
・コンクリート舗装:セメント、砂、砂利、水
・アスファルト舗装:原油残留物、骨材(砂利や砂など)
いずれも骨材などで砂や砂利といった共通点はあるものの基本となる素材が異なる点で違います。
次に強度はコンクリート舗装の方が強い傾向になります。
衝撃にも耐えられる強度を持ち、繰り返しの通行も長期間にわたって耐えられます。
一方、アスファルトもある程度強度があるものの、コンクリートほどではありません。
長期間使用すると徐々にわだちができて変形を起こします。
また、ひびや剥離なども発生しやすい傾向です。
耐熱性は、コンクリートの方が優れています。
夏場でも比較的高温になりにくいのが特徴です。
一方、アスファルトは温度が50度を超えると熱で徐々に劣化し、ガソリンの付着でさらに破損の原因になります。
このように舗装の素材としてはコンクリートの方が優れているものの、コスト面ではアスファルト舗装が圧倒的に優れていることから、アスファルト舗装が普及しています。
コンクリート舗装はメリットも多い
コンクリート舗装はさきほど紹介したようにメリットの多い舗装技術です。
具体的には次のようなメリットがあります。
・照明効率が高い
・走行性能が向上する
・表面温度の上昇を抑える
・補修コストが安い
・高い耐久性
照明効率が高い
意外なメリットとして照明効率の高さが挙げられます。
コンクリート舗装によって路面が白やグレーになるため、照明が反射され、少ない照明でも明るさを確保しやすくなります。
一方、アスファルトなどほかの舗装は路面が黒っぽくなることも多いので、反射が期待しにくく、多めの照明が必要です。
走行性能が向上する
コンクリート舗装は走行抵抗が低いメリットがあります。
路面の転がり抵抗が低めで路面の剛性も高く、劣化しにくいために平坦なことから、特に大型車にとって燃費向上の面でも優れています。
表面温度の上昇を抑える
さきほどの比較でも挙げたようにコンクリート舗装は夏場での表面温度が高温になりにくいメリットも挙げられます。
白い路面は、太陽光を反射して熱を持ちにくく、表面温度が熱くなるといったことも少ないのです。
補修コストが安い
補修コストの安さもメリットです。
コンクリート舗装は強度にも優れ、傷がつきにくい特徴もあります。
そのため、補修が必要となる頻度も少なく、補修を行ってもそこまで高額になりません。
このようなメリットから大型車両の交通量が多い道路やトンネルの内部、急こう配の坂道などに用いられています。
高い耐久性
高い耐久性もメリットです。
非常に丈夫な素材であり、次のような耐久性に優れています。
・耐流動性
・耐油性
・耐摩耗性
・耐熱性
・耐荷重性
耐荷重性の高さはコンクリート舗装のメリットであり、空港のターミナル付近の舗装をコンクリートにすることで重量のある航空機の荷重にも耐えられるようになっています。
コンクリート舗装のデメリットは?
コンクリート舗装のデメリットは、やはり施工する際のコスト面です。
長期的にみるとそこまで高コストではありませんが、施工する際のコストはかなり高めです。
そのため、新規で施工する場合、その点がデメリットになるケースも少なくありません。
ただ、それ以外は工期が長い以外極端なデメリットのない舗装です。
まとめ
土木工事を手掛ける会社は、状況に応じてセメントを使用したコンクリート舗装を採用します。
アスファルト舗装に比べてメリットやデメリットがあることを確認し、最適と認めた場合にコンクリートによる舗装を行っているのです。
さらに今回の記事を読み、特徴が理解できたのではないでしょうか。
もし、コンクリート舗装をしている現場を見たら、特徴を思い出してください。
きっと施工会社もそのメリットの有効性を活かした施工をしているはずです。
