土木工事の種類といえば、道路の建設やアスファルトによる舗装、トイレなどの下水道工事や水道を手掛ける上水道工事といった、普段よく目にする工事をイメージする方も多いのではないでしょうか。
一方で、あまり耳にしない工事があるのも事実です。
そこで今回は、それらの土木工事の種類にフォーカスして解説しましょう。
無数にある土木工事の種類
土木工事とは建物を建てる建築工事以外の建設工事を言います。
主に木材、土石などを利用してインフラを整備したり、修繕したりします。
このようにさまざまな場面で施工されている土木工事は無数の種類があり、大別すると次のような工事が挙げられます。
・基礎工事
・造成工事
・外構工事
基礎工事:基盤づくりの工事
基礎工事とは地盤を強化したり、コンクリートで覆ったりする土木工事です。
基本的には建物の基礎部分に土台を作り上げる工事のことです。
造成工事:土地を加工する工事
造成工事は建築のために土留めや石積みによって土地の高低差をなくしたり、変形を是正したり、地盤を強化したりします。
これらの土木工事によって建物が建てられるようにしたり、ダムなどの構造物を建設したりといったことが可能です。
具体的には地盤が弱くなっている土地は盛土を行い、変形している場合は土地を削って造成したり、高低差は削ったり盛土をしたりして工事を行います。
外構工事:先行工事と仕上げ外構工事
外構工事は、塗装工事や排水工事、造園工事などがあります。
これは、建物以外の構造物を建設する一連の工事を指します。
また、先行工事と仕上げ外構工事の2種類が存在しているのも特徴です。
先行工事は、基礎を作る前の土留めや構造物の建設によって土砂の流出を抑えるような工事を言います。
仕上げ外構工事は完成後に工事を行うもので、構造物の付属物を作ったり、一般住宅の場合は車庫を作ったりといった工事です。
無数にある土木工事の一部を紹介
大まかに分類すると先ほどのような3つの工事に大別されますが、実際はそれらが組み合わさった工事やそれらに分類しきれない工事もあります。
ざっと紹介すると次のような工事が挙げられます。
・基礎・仮設工事:地盤の補強やくい打ち
・鉄道工事:レールの敷設や道床(どうしょう、レールの下に敷く砂利)の整備
・上下水道工事:水道管の布設や施設整備
・トンネル工事:トンネルを建設する工事
・ダム工事:ダム建設や修繕工事
・橋梁工事:橋を建設する工事
・河川工事:河川の補修や護岸の工事
・砂防工事:山腹から土砂が流下するのを防ぐ工事
・道路工事:道路の建設や舗装、修繕などの工事
これらはイメージしやすい工事が多いのではないでしょうか。
次の項目では、土木工事でもやや知名度の低い次のような工事について解説しましょう。
・海洋土木工事
・発電土木工事
・農業土木工事
・法面工事(のりめんこうじ)
これらの工事は、目にするようで意外と目にしていない土木工事ばかりです。
土木工事であまり知られていない種類や分野
土木工事であまり知られていない、先ほど紹介した4つの種類の工事について解説しましょう。
海洋土木工事:海岸で施工される工事
海洋土木工事は、海岸保全施設を建設する土木工事です。
海岸保全施設とは次のような構造物を言います。
・堤防:盛土やコンクリートの打設などによって土手のようにした構造物
・突堤(とってい):海岸へほとんど垂直に突出した堤防のこと
・護岸:岸辺を波から守るための構造物。石を積んだりブロックを設置したりすること
・胸壁:手すり壁のこと。構造物の先端を保護する。
・離岸堤(りがんてい):海岸の沖合に建設される浸食防止のための堤防。
・砂浜:人工の砂浜を作って海岸を守る。
・消波工:堤防の前面に設置して波のエネルギーを軽減させる。
これらの海岸保安施設を建設することで、海岸を守る土木工事の種類です。
発電土木工事:電気工事との協業工事
発電土木工事は発電所周辺の土木工事やその送電施設に関連した土木工事です。
発電所の基礎を建設したり、整地や道路の敷設、電線やさまざまな配管を通したりする各種工事等を手掛けます。
同様に送電線の土台作りや整地なども行うのも特徴です。
電気や機械といった精密機械が多いため、土木作業をする場合は電気工事の専門家と連携して工事に当たる必要があります。
農業土木工事:農業を行うための環境づくり
農業土木工事は、土地改良事業はじめとする土木工事の種類です。
その工事内容は多岐にわたり、次のような工事が挙げられます。
・灌漑工事(かんがいこうじ):ダムや地下水工、水路、水管理施設の建設
・排水路や水門の建設
・圃場(ほじょう)工事:田んぼなどを作る
・農地防災工事:ため池の整備や洪水、津波対策の土木工事
・環境整備:集落の排水、自然環境整備、公園の設置など
農業を円滑に行えるような工事を手掛けます。
法面工事:人工の斜面を作る土木工事
法面工事は、山や高台の斜面部分を造成したり、強度を高めたりする土木工事です。
代表的な工事として次の3つが挙げられます。
・法面排水工:降雨などの地表水や浸透水を排水することで、法面の崩れや崩壊を防ぐ工事
・構造物工:モルタルやコンクリート、板柵、かごなどを使って強度を高める法面工事。グランドアンカー工などによりアンカーを打ち込んで強度を高めることもある。
・植生工:植物の種子などをまいて、植物の根によって水分を吸収したり、土と絡み合って土砂崩れを防御したりする土木工事
これらの工事を主に行って、斜面の崩落を防いだり、崩落した斜面を修繕したりといった工事を行う種類です。
まとめ
土木工事はほかの産業ともかかわりの深い社会基盤を構成するのに欠かせない工事です。
今回は、そのなかでもあまり知られていない工事である、海洋土木工事、発電土木工事、農業土木工事、そして法面工事にフォーカスして解説しました。
これらの工事も重要な土木工事の種類であり、必要に応じて日夜施工されている工事です。
今回紹介した土木工事の種類を知ることで、土木分野に興味を持ちやすくなるでしょう。
